我孫子市にある脳神経外科、内科、リハビリテーション科のほしの脳神経クリニック

             

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頭痛

頭痛について

I.一次性頭痛

慢性頭痛、頭痛もちの頭痛、命にかかわることはありません。

A.緊張型頭痛

側頭筋、後頭部・首・肩の筋肉が硬直して起こります。
鉢巻きで頭全体を締め付けられた感じ、後頭部がずんと重くなります(夕方強くなります)。
両側性が多い、30歳以上、男:女=2:3です。
片頭痛と異なり、嘔気、嘔吐、光・音に過敏になる事はほとんどありません。

1.反復発作性緊張型頭痛
身体的・心理的ストレスによります。

2.慢性緊張型頭痛
軽度から中等度の頭痛が毎日続きます。
肩こり、首の痛み、目の疲れ、倦怠感、ふわふわしためまい、早朝覚醒、途中覚醒を伴いやすいです。

3.誘因:精神的なストレス
ストレス、不安などにより神経や筋肉の緊張が高まったり、痛みに敏感になる。ストレスによる歯ぎしりやつば飲みがあります。
身体的なストレス:長時間同じ姿勢での事務作業や手作業、高い枕、首の悪い姿勢=首猫背:20代以下の緊張型頭痛はほとんど原因がこれです。
ストレートネックやスワンネック(図2)と俗に言われる、首の後ろの筋肉(僧帽筋)が弱く前側(胸鎖乳突筋)が張っていることが多いです。
変形性頸椎症、頸椎ヘルニア(中高年齢で多いです)。

4.対策
授業中や事務作業中、首や肩に違和感を感じたら、首振り体操や肩の上げ下ろし体操を。枕の高さを調節します。
椅子や机の高さを調節してください(体を合わせるのではなく、机と椅子を適正な高さに合わせます)。入浴や適度のアルコールによりリラックスします。

5.治療

  • 筋肉の血流を良くする漢方薬(体力が中等度から上の方は桂枝茯苓丸、弱い方は当帰芍薬散など)。
  • 温湿布で筋肉を温めたり、痛みどめの入ったクリームを塗ってマッサージをします。
  • 頭部、首、肩の局所的な圧痛が強ければ、トリガーポイント注射。
  • 首に対する超音波治療、肩に対する低周波治療、軽度から中等度の頸椎ヘルニアがあれば頸椎けん引。
  • 首、肩の局所的な疼痛が強ければ、円皮鍼、カッピング(吸い玉)療法を行います。
  • 不安神経症が主原因で慢性化していれば、精神安定剤、抗鬱剤(トリプタノール)、インデラルを処方。
  • 頸椎症、頸椎ヘルニアが主原因であれば、脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症で使用する内服薬を処方。頚椎牽引、低周波などの理学療法を行います。
図1 彎曲正常な頚椎レントゲン
図2 スワンネック

頭部は約6kgの重さがあります。体の中心線から垂直の線上に第2頚椎の歯突起先端があり、それがやや後方に反っている形が正常(理にかなった形)。
スワンネックでは、長年の姿勢の癖で自分では感じませんが、頚椎の骨、中の脊髄や神経、頚動脈、頚静脈などに大変な負担がきています。その負担が慢性の頭痛、肩こり、首の痛み、めまいなどにつながります。この状態が続くとうつ病、自律神経失調症になり、回復不能となる事もあります。

図3 椎間孔正常な頚椎レントゲン
図4 椎間孔狭小化した頚椎症

第1椎間孔からは、耳介後部から後頭部、側頭部の頭皮部分、顔面への神経が出ています。変形性頚椎症により椎間孔が狭くなると、そこを通る神経が圧迫され、慢性的な痛み・しびれ、急性の痛み(後頭神経痛、首で生じると寝違え)が生じます。
頚椎牽引をすると、椎間孔を広げる作用があるといわれています。

B.片頭痛

頭の血管が拡張して炎症を起こしたため生じる(ズキンズキン)。
日常生活に支障をきたす、中等度から重度の頭痛。
多くは月1-2回、年1-2回から週1回まで、4-72時間続きます。
両側性の事もある (40%)、20-40歳代に多い、男:女=1:4。
母親が片頭痛だと子供の50%は片頭痛になります。
誘引、悪化要因、頓服、予防治療薬が多数あり、その人にあった治療をするのに、頭痛日記をつける事が、治療に大変参考になります。

1.誘因や悪化要因
まぶしい光、嫌なにおい、大きな音、低気圧、雨、運動・マッサージ・入浴後、生理前・中・直後、階段の昇降などの動作、寝不足や寝すぎ、休日やストレスから解放された時、頭を下に下げると、血管拡張薬(狭心症治療薬など)、ダイエットなどによる低血糖アレルギー(花粉症、副鼻腔炎、喘息)、飛行機着陸時の気圧差

2.誘因となる可能性のある飲食物(5-25%の片頭痛の方が関連あり)
頭痛発作が出た時、その前に食べた物を記録します。下記に該当する食物があったら、しばらく止めて頭痛が減るかどうか見ます。

  • 2合以上の飲酒(特に赤ワイン)
    アルコールは血管拡張作用があります。二日酔いによる頭痛は、アルコール分解産物(アセトアルデヒド、酢酸)によります。
    赤ワイン(特にフランス産)には、血管拡張作用のあるヒスタミンが大量に入っています。また血小板セロトニン遊離促進作用、血管拡張作用のあるチラミン、ポリフェノールアミンを含みます。
  • 熟成チーズ
    チラミン、ポリフェノールアミンを含む、クリーム、コテージ、モッツアレラは可
    チョコレート(チラミンを多量に含む)、発酵食品・漬け物・マリネなど
    ニシン(漬物または乾燥)
  • カフェイン
    コーヒー、緑茶、紅茶、栄養ドリンクなどの取りすぎ(めまいの原因にもなる)
  • 柑橘類(1日半カップ以上)、ナッツ・ピーナッツバター,サワークリーム
  • バナナ(1日1/2本以上)、ピザ、ソラマメ・エンドウ豆、
  • 鶏レバー・そのパテ
  • グルタミン酸ナトリウムを含む調味料
    味の素、醤油、シーズンドソルトなど
  • イチジク
  • レーズン
  • パパイヤ
  • アボガド
  • レッドプラム
    1日半カップ以上
  • 赤身の魚(マグロ、ブリ、サバ、サンマなど)+MAO阻害薬(抗鬱剤の一種など)
  • 牛乳、ヨーグルト

3.前兆(片頭痛の20%に生じる)
頭痛の生じる30-60分前、あるいは頭痛と同時に生じる脳の局所神経症状。
視覚症状:閃輝暗点…30-60分ほど視野中心が見えにくくなり、その周辺にチカチカした眩しいギザギザの線が見える、それが次第に視野全体に広がり視野が欠けます。
感覚症状: ちくちく感で始まり、顔や体のさまざまな部位に広がります。感覚鈍麻。
言語症状:失語症など
中年以降では頭痛がなく前兆だけのことがあります。
要注意の前兆:1時間以上続く、頻度が急に多くなった、40歳以上で発症、ホルモンの変化で始まった場合
前兆を途中で止める治療薬はありません。予防薬はあります(カルシウム拮抗薬など)。

4.片頭痛の分類

  • 前兆のない片頭痛(通常型片頭痛、60-70%)
  • 前兆のある片頭痛
    1. 典型的前兆に片頭痛を伴うもの
    2. 典型的前兆に片頭痛様の頭痛を伴うもの
    3. 典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの
    4. 家族性片麻痺性片頭痛
    5. 孤発性片麻痺性片頭痛
    6. 脳底型片頭痛—前兆として、複視、運動失調、交互障害、回転性めまい、耳鳴、難聴、四肢の感覚障害のうち2つを伴います。
  • 小児周期性症候群(片頭痛に移行することが多いもの)
    1. 周期性嘔吐症
    2. 腹部片頭痛—臍周囲に、重度の突発性鈍痛が発作性反復性に起こります。
    3. 小児良性発作性めまい—数秒から数分続く回転性めまい
  • 網膜片頭痛
    5-10分の片側の視覚障害発作(閃輝や視覚消失)が、片頭痛に伴って繰り返し生じます。視神経障害、頚動脈解離を除外する必要があります。

5.随伴症状
しばしば嘔気、嘔吐、光・音過敏を伴う事が多いです。
易刺激性、倦怠感、めまい、ふらつき、下痢、痙攣、動悸などを伴う事があります。

6.応急処置
暗くて静かな部屋で横になる、痛い部位を指圧する、頭部を鉢巻きで巻く、痛いところを保冷剤などで冷やす、一眠りする、カフェインをとる、トリプタン服用

7.治療

  • 頓服(頭痛を止める薬)
    • セロトニン作動薬:血管のセロトニン受容体に働き、拡張した血管を収縮し炎症を抑えます。片頭痛のみ有効、胃を荒らすことはありません。
    • トリプタン:2001年から認可、片頭痛が本格化した後も作用あり。
      1錠内服し、作用不十分なら2時間後に再度服用できる。1錠で作用がなければ追加投与は作用なし。
      トリプタンから鎮痛剤追加は1時間後に、鎮痛剤からトリプタン追加は30分後に可能。
      作用発現時間—注射10分、点鼻薬15分、経口薬30分
      月10回以上トリプタンを使用する場合、依存症になる可能性があります。
    • エルゴタミン(製品名クリアミン、カフェルゴット)
      高血圧、狭心症、妊婦では使用禁止。片頭痛のごく早期に飲めば作用あり。毎日服用するとかえって血管拡張します。
    • 鎮痛剤:片頭痛の早期に服用すると作用あり。胃腸障害の副作用は、3-15%。
      片頭痛発作中は、鎮痛剤の吸収が悪くなります。
    • 制吐剤:鎮痛剤と併用すると、薬の吸収を高めます。
  • 予防治療薬
    月3日以上片頭痛のため生活に支障が出る場合、月10回以上頓服を使用する場合は、薬物乱用頭痛を予防するため片頭痛予防薬を使用する。使用すると頭痛の頻度、強さが半分程度になります。
    以下おすすめ順に。
    1. 漢方薬:五苓散、呉茱萸湯(嘔気が強く体力が弱めの方)、桂枝茯苓丸(肩こりから頭痛が来る方、緊張型頭痛を合併している方)、小児向けに錠剤もあります。
    2. 抗てんかん薬:バルプロ酸–最近保険適用となった。
    3. カルシウム拮抗薬:テラナス、ミグシス
    4. 抗CGRP薬:エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ(片頭痛発作発症抑制薬の投与)
    5. 降圧剤:ブロプレス、インデラル
    6. 抗うつ薬:トリプタノール

8.予防となる食品
一次性頭痛の者は頭痛のない物と比較して、魚、大豆食品の摂取が少ない、油料理の摂取が多いです。
片頭痛の者は、緑黄色野菜、海藻類の摂取が少ない。血小板や赤血球膜のオメガ-3脂肪酸濃度が有意に低いです。

  • マグネシウム:片頭痛患者の30-50%は、Mgが不足しています。
    Mg 欠乏(ストレス、妊娠、生理、飲酒、ある種の利尿薬などによる)が血管攣縮を誘発し、片頭痛発症に関係。1日400mg必要。
    Mg が欠乏しやすい状態:ループ利尿薬、栄養失調、慢性アルコール中毒、低カリウム血症、糖尿病肉、加工食品、清涼飲料水などに含まれるリンを多く摂るとマグネシウムの吸収が妨げられます。
    カルシウムを多くとるほどマグネシウムの排泄量が増える為、 カルシウムと
    マグネシウムの摂取バランスは2対1が望ましいとされています。
    黒豆100gに220mg,干しひじき30gに162mg, 納豆100gに100mg, 木綿豆腐1丁 100gに100mg, アーモンド 30gに87mgなど、豆、ナッツ、海藻に多い。
  • 大豆:これに含まれるイソフラボンの代謝産物が片頭痛を予防。
    イソフラボン代謝酵素は中高年の50%、若年者の25%は持っていない。
    豆腐なら半丁、納豆なら1パック。
  • オメガ-3脂肪酸(α-リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)から成る): 血小板凝集阻止する、血小板のセロトニン放出減少、脳動脈の攣縮を軽減させる。 魚油、肝油、ニシン、サバ、サケ、イワシ、タラ、アブラナ(キャノーラ)、大豆、エゴマ、アマ、アサ、ほうれん草、青梗菜など。

9.片頭痛の合併症・共存症

  • 脳梗塞:45歳未満の女性で前兆のある女性に多い。ピル、タバコで更に危険性が高まります。
  • 痙攣:前兆の時や頭痛が生じて1時間以内が多いです。
  • 潜在性卵円孔開存:前兆のある頭痛患者で多いです。
  • めまい—脳底型片頭痛と片頭痛関連めまい。
  • アレルギー疾患—片頭痛の患者に多いです。
C.群発頭痛およびその他の三叉神経・自律神経性頭痛

1.群発頭痛
人口の0.01%、年間1万人発病、男:女=5:1。
頭の血管が拡張して炎症を起こしたため生じる。20-40代の男性に多いです。
年に1回、1-2力月の間毎日群発する(1日1回1時間続く事が多いです)。
睡眠中(特に明け方)おこりやすいです。
片側の目、前額部、側頭部がえぐられるように激しく痛みます。
激痛のため不穏となり、のた打ち回ります。
頭痛発作の時、発作側の目から流涙・結膜充血、くしゃみ、鼻水・鼻閉、眼瞼浮腫、前頭部および顔面の発汗、縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)を伴いやすいです。
20%は慢性化します。

  • 誘因や悪化要因:飲酒、風呂、運動、喫煙、ヒスタミン・ニトログリセリンなどの血管拡張薬。
  • 治療:頓服(頭痛を止める薬)—片頭痛と一緒+酸素吸入。
    ベンザALスプレー(点鼻後痛い方を下にして寝る)
  • 予防治療薬:片頭痛より作用がないことが多い。片頭痛と一緒。

2.発作性片側頭痛
群発頭痛と同様の症状だが、持続時間が2-30分と短く1日5回以上と多いです。女性に多く、インドメタシンが著効を示します。

3.結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
群発頭痛と同様の症状だが、持続時間が5秒-4分と短く1日3-200回と多いです。
著明な流涙、結膜充血が特徴、インドメタシンなどの内服の作用はありません。

D.慢性連日性頭痛

1.慢性緊張型頭痛

2. 慢性片頭痛、変容性片頭痛、虎型変頭痛
薬物乱用がなく、過去に5回以上の片頭痛を経験している患者に、頭痛(緊張柄あるいは片頭痛)が月に15回以上、3力月以上続いた場合(そのうち随伴症状を伴う片頭痛、あるいはトリプタン製剤が有効な頭痛が月8回以上あること)。

E.その他の一次性頭痛

1.一次性穿刺様頭痛
随伴症状のない数秒以内の穿刺様頭痛が、主に三歳神経第1枝領域に不規則に反復する。片頭痛、群発頭痛の患者に合併しやすいです。治療はインドメタシン。

2.一次性咳嗽性頭痛
咳、息こらえ、排便、くしゃみ、下向き姿勢などで両側性に突然後頭部痛が生じます。中高年の男性に多いです。自験例では頚椎ヘルニアが多いです。

3.一次性労作性頭痛
水泳、ランニングなどの激しい運動時に起こります。高地、暑い日に起こりやすいです。

II.二次性頭痛

脳の病気による頭痛で命に関わります。年間3万人発症。

A.頭部外傷による頭痛

1.外傷性頚部症候群慢性期むしろ軽度の頭部外傷後に多いです。めまい、耳鳴り、しびれ、肩と首の痛みなどを伴いやすいです。

2.急性頭蓋内血腫
急性期(外傷後24時間以内)は、急性硬膜外・下血腫に注意。このときは嘔吐、意識障害を伴う事が多いです。

3.慢性硬膜下血腫
頭を軽く怪我をしてから、1-2力月後に発病します。
高齢者では認知症の症状のみの事もあります。局所麻酔で30分ほどの手術で治療します。

B.頭頚部血管障害による頭痛

1.くも膜下出血
年間1万3千人発病。
突然頭全体に衝撃が起きる、意識消失、痙攣することがあります。
2親等以内(祖父母、両親、兄弟姉妹)にくも膜下出血の方がいる場合、脳動脈瘤ができる可能性は20%。

2.脳出血
急な頭痛や意識障害で発症します。片側の麻痺、構語障害があることが多いです。年間3万4千人発病。

3.脳梗塞
緊張型頭痛と同じような頭痛。

4.側頭動脈炎
50歳以上の女性に多い。発熱、体重減少、筋肉痛を伴います。
片側または両側の側頭部の拍動性頭痛、側頭動脈の圧痛、硬結、肥厚を認めます。

5.解離性脳動脈瘤
急な片側性後頭部痛・頚部痛を訴える。後に脳梗塞、くも膜下出血をきたすこともあります。

6.脳静脈洞血栓症
出産前後に頭痛、痙攣をきたした場合、これを疑います。
早朝の片側性頭痛、嘔吐。

7.後大脳動脈可逆性脳症
後大脳動脈の攣縮により、意識障害、視野障害、頭痛、痙攣などを起こします。
基礎疾患:妊娠高血圧症、高血圧性脳症、全身性エリテマトーデス、抗がん剤服用、アレルギー性紫斑病、白血病など。

8.その他
後脳動静脈奇形、もやもや病、脳動脈瘤、中枢神経系血管炎、内頚動脈動静脈洞瘻、巨大蛇行脳底動脈、線維筋形成不全、内膜剥離術後、ミトコンドリア脳症

C.非血管性頭蓋内疾患および感染症による頭痛

1.脳腫瘍
初発症状では痙攣が30%。頭がボーっとする、早朝頭痛(20-30%)、起床時嘔吐、片麻痺、視野障害、視力低下など。  咳、くしゃみ、前屈姿勢などで増強。脳室内腫瘍では頭位変換で激しい頭痛が生じる事があります。

2.髄膜炎
嘔気、嘔吐、頭を下に向けると頭痛がします。
CT, MRIでは診断がつかない、腰椎穿刺による髄液検査が必要。

3.脳脊髄液減少症・特発性低髄液圧性頭痛
髄液が持続的あるいは断続的に漏れるために生じます。
頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、全身倦怠感、不眠、視機能障害など。
座位または立位で15分以内に増悪する。びまん性硬膜肥厚をきたします。

4.その他
特発性頭蓋内圧亢進症、脳膿瘍、脳炎、サルコイドーシス

D.物質またはその離脱による頭痛

1.薬物乱用頭痛
3力月以上にわたって薬物乱用(月10日以上トリプタン、月15日以上単一の鎮痛薬を服用)すると、脳が痛みに敏感になり頭痛がかえってひどくなります。鎮痛薬を使っても数時間しか効きません。
片頭痛、緊張型頭痛を両方持っていることが多いです。
アスピリン(バファリン、バイアスピリン)は頭痛を悪化させません。
腰痛、関節痛に鎮痛薬を連用しても、薬物乱用頭痛にはならず遺伝的素因の関与が推測されます。
頭痛に対する不安、薬物への依存心が強いなどの精神的因子も関与しています。
鎮痛薬を止めると、数日の間頭痛が悪化し嘔気、嘔吐が生じるが、3-7日後に改善し始めます。

2.カフェイン依存性頭痛(=カフェイン離脱頭痛、禁断性頭痛)
診断基準:2週間以上1日200mg以上のカフェイン摂取歴があります。
頭痛(両側性およびまたは拍動性)は最後のカフェイン摂取後、24時間以内に始まり、100mgのカフェイン摂取により1時間以内に軽快します。
頭痛はカフェインの完全離脱後、7日以内に消失します。
カフェイン含有量(飲料は200m当り):コーヒー・紅茶100mg、玉露320mg、煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶40mg、番茶・玄米茶20mg、市販の鎮痛薬80-0mg コーラ 50mg, リポビタンなどのドリンク剤1本当り50-0mg、総合感冒薬 200-0mg 鼻炎や総合感冒薬に含まれ、塩酸フェニルプロパノールアミンはカフェインの分解を阻害するため、その作用を著しく増強させます。

3.その他の離脱性頭痛
薬剤を3力月以上連用すると、離脱後2日以内に嘔気、嘔吐、不眠、不安感、下痢などを伴う頭痛が生じ、約1週間続きます。
エストロゲンでは、毎日3週間以上の服用で離脱後5日以内に頭痛が生じます。
アルコール、狭心症治療薬、ED治療薬、ペルサンチン、アトロピン、ジギタリス、トフラニール、ニコチン、カルシウム拮抗薬、一酸化炭素、食品添加物(人口甘味料など)、コカイン、ヒスタミン、カンナビス。

E.危険な頭痛の特徴

今までに経験したことがない強烈な頭痛(雷鳴頭痛、B-1,2,5,6,7)
突然起こる頭痛
最近1力月以内で徐々に強くなってきた頭痛(脳腫瘍、慢性硬膜下血腫)
高熱を伴う頭痛(髄膜炎、脳膿瘍)
意識障害、片麻痺、物忘れ、構語障害、めまい、痙攣などを伴う頭痛(B1-3,5-7,C-1)

F.危険な頭痛の応急処置

患者を横にして穏やかにさせます。
呼吸が苦しそうなら顎を引き上げます。
衣服を緩めます。
嘔吐に備え体を側臥位にします。
救急車を呼んで脳神経外科の病院に搬送します。

III.頭部神経痛、中枢性・一次性顔面痛およびその他の頭痛

脳の病気による頭痛で命に関わる。年間3万人発症。

A.頭部神経痛および中枢性顔面痛

1.三叉神経痛
1秒から2分の短い電撃痛が、片側の頬、顎に起こる。頬を触ったり、食事、洗顔、歯磨きなどで誘発されます。50-60歳の女性に多いです。
多発性硬化症、後頭蓋か脳腫瘍—他の神経症候を伴う場合、40歳以前の発症、両側に起こる場合

2.後頭神経痛
緊張型頭痛とほぼ同じ原因で生じますが、頚椎症が主原因です。
 耳の少し上や後ろの後頭部が、瞬間的にずきんと痛くなる。この頭痛が数分ごとに繰り返します。小後頭神経に対する、トリガーポイント注射が速攻で効きます。

3.帯状疱疹
発疹の2-5日前にぴりぴりした神経痛が生じる。頚部神経根、三叉神経第1枝領域に多いです。
Ramsay Hunt症候群:顔面の帯状疱疹、外耳道の疱疹、顔面神経麻痺

参考文献

  • 神経内科ハンドブック 鑑別診断と治療 第4版 編集 水野美邦
  • 脳神経外科学 改訂11版 総編集 太田富雄