I.回転性めまい
激しいめまい、周囲がぐるぐる回って見えたり、天井が流れて見えます。めまいと同時に嘔気、嘔吐をすることが半分ほどあります。立っていられないことが多いです。ほとんどは内耳の三半規管の障害で起きます。数分から数時間続きます。
A.末梢性めまい:自分や周囲の回転感覚を伴う。前庭器(三半規管、耳石器)の異常。
1.良性発作性頭位性めまい(benign paroxysimal positional vertigo, BPPV)
頭や体の位置を変えたり、ある特定の体勢をとった時に、数秒から数分激しいめまいが生じます。
朝起床時、夜就寝時、寝返り、頭の上向き、下向き、洗濯物を干すとき・取り込むとき、顔を洗う時、靴紐を結ぶとき、美容室で洗髪するとき、車でバックをするときなどです。
眼振を伴い、原因は片側のことがほとんどです。
耳鳴り、難聴、神経症状は伴いません。嘔気、嘔吐はあります。
耳石器の耳石がはがれて、三半規管の中を浮遊することによって生じるといわれています。私の印象では、首が細めで前傾姿勢の方が多いです。その他、寝たきりの方、鞭打ちなどの軽微な外傷、慢性中耳炎、加齢が原因となります。
毎日のめまいリハビリが大事です。
治療法:エプレイ法…ベッドで行う理学療法で、70-80%の有効率があります。
2.メニエル病
急激な回転性めまい、めまいと同時に一側性難聴・耳鳴りを伴います。嘔気、嘔吐、顔面蒼白、冷や汗、頭重感、失神などを伴うことが多いです。
めまいは2-3日続き、再発もまれではありません。再発を繰り返すと難聴となります。
内耳に内リンパ液が増えすぎて生じるといわれています。
誘因:過剰なストレス、季節の変わり目、寒冷前線、気圧の変化予防として、水分を1日1.5-2lとるようにする、働きすぎない、睡眠時間を増やす、ストレスをためないことです。
3.前庭神経炎
急激で激しい回転性めまいが1週間以上続きます。この間は立つこともできないです。激しいめまい後も、体動時のふらつきやめまいが残ることが多く、入院加療が必要となります。嘔気、嘔吐があり、7-10日前に感冒症状がでます。
めまい後遺症:電光掲示板の流れる文字を見るとき、窓を拭くとき、料理、子供が足元を動き回るとき、本・新聞・携帯画面を見るときめまいがしやすいです。
温度眼振試験で患側に高度の温度反応低下を示し、再発はまれです。
4.中耳炎
めまい、難聴、嘔気、嘔吐、眼振、耳漏があります。
5.めまいを伴う突発性難聴
突然難聴、耳鳴り、耳閉感、回転性めまいが起きます。
2週間以内に治療をしないと、2/3に難聴の後遺症が残り、再発しないです。
原因:ウイルス感染、内耳の血流障害といわれます。
6.片頭痛性めまい
めまいと同時に頭痛を伴います。40%にめまいの後遺症をもたらします。
7.頭部外傷
錐体骨折(耳介後方の骨折)
8.膝神経節帯状疱疹
9.薬物中毒
結核治療薬のストレプトマイシンなど
10.一酸化炭素中毒
11.飲酒
一過性であります。
12.乗り物酔い
B.中枢性めまい
上下方向または前後方向の動きの感覚を伴います。
前庭神経、前庭神経核(脳幹の橋にある)、脳幹内の前庭神経経路、小脳、脊髄の異常があります。
1.頚性めまい
首を上下か左右に動かしたとき、肩、首の痛みと共にめまいを生じます。BPPVとの厳密な鑑別には、回転椅子等が必要です。
頚椎レントゲンあるいはMRIにより、中等度から重度の頚椎症、頚椎ヘルニアが見られます。
2.椎骨動脈狭窄(vertebral kinking)
頚椎症による骨棘により、首を左右に向いた時動脈が閉塞されます。
3.一過性脳虚血発作(TIA)
中高年齢の方が、急に回転性めまい、嘔気、嘔吐を生じ、24時間以内に収まります。脱力発作、複視、不全麻痺を伴うことがあります。
4.小脳梗塞・出血、脳幹梗塞・出血
急激なめまい(回転性より動揺性が多い)、平行障害(よろめき歩行)、嘔気、嘔吐、意識障害、眼球運動障害、構語障害、複視、不全麻痺などが生じ、1週間以上続きます。